ファブリー病の検査・診断

ファブリー病とは
ファブリー病の主な症状

ファブリー病の検査・診断

腎症状の検査所見

【尿所見】
蛋白尿・血尿のほかに、尿中Gb3が生化学的に検出されます。また、尿沈査中に灰白色で特徴的な渦巻状の「マルベリー小体」や、それが細胞内に蓄積された「マルベリー細胞」が観察されます。マルベリー小体は、小児期から、また尿蛋白より早期に出現する可能性があるため、マルベリー小体の検出がファブリー病の早期発見に寄与しうるものと考えられています1)

【顕微鏡所見】
光学顕微鏡所見では、糸球体たこ足細胞の腫大と胞体空胞化が特徴的ですが、空胞は他の細胞にも認められます。空胞内には、PAS染色、トルイジンブルー染色、アズールⅢ染色、ズダンブラックB染色により顆粒状沈着物が染色されます(図A)2)。電子顕微鏡所見では、糸球体たこ足細胞、内皮細胞などにシマウマの皮紋状封入体(ゼブラ小体)の沈着が多数認められます(図B)2)

図 ファブリー病の腎症状の顕微鏡所見

ファブリー病診断治療ハンドブック編集委員会編:ファブリー病診断治療ハンドブック
改訂第3版. pp12-13. イーエヌメディックス, 2018 改変

様々なマルベリー小体

マルベリー小体は、灰白色で渦巻き状を呈するといわれていますが、渦巻き状を呈さないマルベリー小体がみられることがあります。これらのマルベリー小体に類似した成分は、マルベリー小体と断定することができませんが、マルベリー小体の存在を示唆する成分として認識されています。マルベリー小体に類似した成分に遭遇したときは、標本内をよく観察し、特徴的な渦巻き状を呈したマルベリー小体を根気よく探索しましょう。

〈参考〉非典型的なマルベリー小体の例

大阪大学医学部附属病院医療技術部検査部門 堀田真希先生ご提供

ファブリー病の診断

臨床症状や家族歴からファブリー病が疑われる場合には、酵素活性検査や遺伝子解析により診断が行われます。
診断方法は、男性と女性では異なります。男性では、酵素活性検査により、血漿、白血球、尿中αガラクトシダーゼA(GLA)活性を測定し、低下していればファブリー病と診断されます。一方女性ではGLA活性は正常または正常に近いことが多いため、遺伝子解析により診断します。ただし、一部のファブリー病家系では遺伝子変異が同定できないことがあるため、そのような家系のファブリー病女性は、家族歴や臨床症状、病理所見等から総合的に診断する必要があります3) 4)

ファブリー病では発症後早期に診断し、治療を開始することが重要です

ファブリー病は進行性の疾患であり、幼少期から発症し、全身症状の悪化とともにQOLが低下します。しかし、ファブリー病は発症から診断までに10~15年程度要すると報告されています。治療法が確立している現在、臨床症状から疑い症状が進行する前に診断することが重要です3)

参考資料
1)Yonishi H, et.al: Nephrol Dial Transplant 2020 Dec 24; gfaa298. PMID: 33367839.
2)ファブリー病診断治療ハンドブック編集委員会編: ファブリー病診断治療ハンドブック 改訂第3版, 12-13, イーエヌメディックス, 2018
3)日本先天代謝異常学会編: ファブリー病診療ガイドライン2020. 2-9, 診断と治療社, 2021
4)ファブリー病診断治療ハンドブック編集委員会編: ファブリー病診断治療ハンドブック改訂第3版. 25-26, イーエヌメディックス, 2018